台高山脈(南部) 大台ケ原〜池木小屋山 縦走     平成21年5月3日ー7日

コースタイム 1日目 大台ケ原バス停10;25〜大台辻12;25〜御座ー13;45〜振子辻15;30〜16;25テン場(泊)
2日目テン場6;00〜7;40ブナ平8;10〜山ノ神ノ頭10:30〜馬ノ鞍峰14;00〜15;15霧の平(泊)
3日目霧の平(停滞)
4日目霧の平5;40〜弥次平峰7:30〜池木小屋山10;25〜宮ノ谷高滝下12:35〜駐車場〜15;10スメール 


大台ケ原駐車
ちょうど1年前に計画したが休みの都合で、高見山と日出ヶ岳の両端だけで終わっている。今年のゴールデンウイークは連休が取れるため大台山脈縦走の第2弾です。第1弾は高見山ー池木小屋山を今年の3月に実行したので、首尾よくゆけば大台ケ原までつながる。天気予報も5日がやや曇り時々雨で後は晴れマークで期待が出来る。公共交通の都合で大台ケ原から北上することにした。前夜、新幹線で大阪に入り、天王寺付近の安宿に宿泊する。天王寺駅から歩くこと10分、一泊1800円で、カプセルホテルより安いのはありがたい。驚くことに若い女性客も多い、女性フロアーがあるらしい。

5月3日,5時半、ホテルをでて、天王寺駅北口の吉野家で朝定食をたべてから大阪阿部野橋で電車に乗った。古市駅で乗り換えて大和上市駅に着いた。駅前でバスの会社の人が寄ってきて「大台ケ原ですか?登山カードに記入してください」と云われ、カードに記入をしてから順番札をもらった。5番目でした。次の電車が着くと、同じように話しかけていた。
ほとんどがハイキングスタイルです。最後尾にザックを乗せているともう一人の山装備の人が横に座った。私より重装備、ピッケル、ヘルメットも持っている、沢屋かと足元を見ると重登山靴を履いている。「どちらに行きますか?」聞くと、明神平まで縦走すると言う。藪漕ぎがあると思いヘルを持ってきたとのこと。同じコースのお仲間がいて心強い出だしです。




川上辻
メットとピッケルを背負った重装備のおじさん
1時間40分バスに揺られて大台ケ原に着くと駐車場は超満車、道路にまであふれていた。昨年は駐車場に疎らに停まっていただけでしたが例の高速道路代が1000円乗り放題なためでしょうか。トイレによってから出発しようとしたところにちょうど先ほどの縦走者が挨拶して先に行った。後を追うように歩き出した。バス道を歩き、少し下ると川上辻に到着、通行止めの看板が立っていて、安心橋前後と筏場道〜大台辻〜吊橋が一部崩壊と記されている。とりあえず行かれるところまで進む。
駐車場の喧騒から一気に静寂な原生林に飛び込んでしまった。山腹を巻くトラバース道でほぼ平行道です。崩壊部も心配するほどのこともなさそうで、しばらくすると下山者がやってきた。支沢の一部が崩壊しているだけ、残地ロープがあるので通過できるとの情報を聞くと安心した。この方29日に榛原駅から歩いて高見山に登り。縦走してきた兵でした。その崩壊した沢で先行してい重装備のおじさんが沢を下降している。上流部に虎ロープが見えるので私はそちらから登山道に乗った。金明水という湧き水のところで食事休憩をしていたら下降していた人が追いついてきた。虎ロープを見逃したそうです。奈良の方で地元ですがここは始めてだそうで、雪が心配でピッケルまで持ってきたといっていた。私は今年の3月に来ているので「雪の心配はまったくないでしょう」と話しておいた。

おいしい湧き水
金明水

添谷山
金明水のおいしい水を1リットル詰めて筏場道を進んだ。大台辻で吊橋への道を分けて薄い踏み跡の縦走路に入るとまもなく広い尾根になってブナとヒメシャラの快適な尾根となって、添谷山に着いた。添谷山で間違えやすい直進尾根に注意して左下に下る。低潅木と岩場に変わり御座ーの展望の良い岩稜に出た。大峰山脈の展望が良い。岩場を急下降すると鞍部の引水迫に着く。右下に水の流れが見えるが水補給はしないで先に進む。テン場を探しながら歩き、キャンプ適地を過ぎた。振子辻を通過してテン場にと思っていたところには先客が2張りあったのでそのすぐ先の小ピークを今日のテン場とした。水の持参が少ないのでお昼の余りのおにぎり主に夕食を済ませた。

引水サコを過ぎた付近
大普賢岳か?

ブナ平の水場
5月4日、撤収作業をしていると手前のテン場の人たちが来た、中高年5人組みです。今日は山の神から三ノ公に降りるとのこと。水が少ないのでパンにお茶で済ませて、本格的な朝食は次ぎの水場でとることにして出発する。天気は良さそうだが、夕べの予報だと、明日から雨模様といっていたので出来るだけ前に進んでおこうと思う。これが後で祟るのでした。朝一の急登、その先不明瞭な支尾根で悩む。今回の縦走、県界尾根は複雑な尾根が多く、何回も迷いました。テープがたくさんついているのですがそれでもちょっと油断すると間違えてしまう。とにかくテープが見当たらないときは間違えです。エアリアマップにない道があり、そちらに入り込むとテープもあって厄介なことになる。
父ヶ谷の高で尾根を北にと変えて下る。やがて広く落ち葉が敷き詰められたテン場に最高のところに着く。ここがブナ平というらしい。先ずは水探しです、水場と小さな札があったので右に下ってみると三ノ公雨量観測局と書かれた建物がありその裏側が小川となっていた。ここで、朝食、歯磨き、水取りと大休止をした。

山ノ神ノ頭
ブナ平に戻り、はっきりとした尾根はなく斜面を適当に登りその先で尾根道になる。痩せ尾根になり1125mの着く、尾根が広がり歩きやすくなるが岩場の急登がきつい、やっと、湯谷ノ頭に到着です。ここでコシアブラを少し収穫した。これまでも何本もあったがいずれも高木で採れなかった。時折、コウヤマキの巨木が目に付くようになる。アケボノツツジ、シャクナゲもちらほらと咲いていて楽しませてくれる。山ノ神ノ頭に着くと4人が写真撮影中でした。その人たちが三の公に降りてゆくと山頂は一人になった。セルフでシャッターを押してから僅か戻って縦走路に復帰する。池地越で水場を偵察に行くが源頭部はヌタ場のようでもっと下まで行かないと取れそうもないので戻ってきた。西斜面にキャンプに適した台地があるとマップに書いてある。確かに良さそうだが水場がないし出来るだけ先に進みたいと云う気持ちが先行して、無理をした。 

霧の平
2日お世話になったテン場
馬ノ鞍峰に着くと反対から若者が来た。この先テン場について聞くと霧の平までないといわれた。ここまできたら進むしかない。確かに痩せ尾根が連続していてテン場はなく霧の平に着いたときはバテバテでした。無理して来た甲斐があるすばらしいテン場です。落ち葉の敷き詰められた平地を見つけてテントを張った。東側に3分ほど下るといい水場があった。あまり疲れたため食欲がない。お菓子とペンネのたらこ和えを少し食べ早々寝てしまった。夜半、雨が降り出してきた。あまり強くはないが降り続く。
5月5日、体調が悪く、雨降りもあって歩く意欲が湧いてこない。とりあえず歩き出してみたが30分も進んだところで、停滞を決断して、霧の平まで戻ってテントを設営した。間断なく降る雨、狭いテントで過ごし一日は長く辛いものがあった。天気が良いと最高のロケーションです。まあ天気が良かったら停滞もしてないでしょうが。食欲はなく一日、ほとんど食べることなくお茶やコーヒーを飲んでいた。

池木小屋山
5月6日、相変わらずの雨です。何も食べていないため腹に力が入らない。ウイダーゼリーと黒砂糖をナメながら歩き出す。池木小屋山まで行けば明日の予備日で何とかなると思いながら歩く。小雨に煙り、霧でテープが見にくいが雰囲気は良い。アケボノツツジの花びらも俯きかげんでいとおしい、悪場もなく弥次平峰に着く。弥次平峰と1258m の中間部の小ピークで北に伸びる尾根にはっきりというか縦走路より踏まれた道が下っていた。北股川の林道に下りているらしいがテープが多くつい入り込みたくなった。地形図で確認してまっすぐ進むとこちらにもテープが出てきて安心した。ヒメシャラの幼木が踏み後を薄くしたりもするが概ね大黒尾根は歩きやすいホウキガ峰にコースタイムどおりたどり着いた。大休止の後、ダラダラとした登りで池木屋山に着いた。3月のときは雰囲気がまったく違い別の山のような気がした。何とか高見山〜大台ケ原がつながりました。

宮ノ谷 高滝
下山をどうしようか昨日から考えていた。大雨が続いた場合、宮ノ谷は渡渉が問題になる。霧降山まで進み、宮ノ谷左岸尾根を下降すると増水でも問題がないが霧降山まで1時間ほど登りがある。体力的には宮ノ谷に下るほうが楽だ。思案の末、源頭部にこれだけ保水力のあることを頼みに一気の増水はないと思い宮ノ谷に降りることにした。3月の時は雪の斜面を滑りながら下降したが今日は雨で滑る。でも夏道は歩きやすく安心です。うるさいほどのテープに導かれ間違うことなく奥の出会に着いた。心配していた増水は少なく、水の濁りもないので一安心です。上流に少し上り、大石で濡れることなく左岸へ、ドッサリ滝を巻いて2回目の渡渉は濡れて右岸へ、もう一度左岸に移るがもう雨で濡れて靴の中はずぶ濡れでジャブジャブと渡った。猫滝、高滝のいやらしい巻きが終わり高滝の下で最後の渡渉です。さすがに水も多く膝まで浸かって右岸に渡った。林道終点の駐車場には1台の車もなく乗せてもらう淡い期待もなくなった。

高滝からの遊歩道
三軒屋という昔の集落跡に黒電話があるので頑張って林道を30分ほど歩く。これでタクシーを呼ぶことが出来ると、急いで電話をしたところ今日は休業ですとあっさり言われてしまいショックです。こうなったらスメールまで歩くしかないと気を取り直して歩き出す。雨はますます強くなり、風も出てきてカッパを着ているものの下着がずぶ濡れでとにかく寒いのです。旧道との分かれ道で、右岸道を行くか左岸道を行くか迷い、3月には右岸を歩いたので今回は左岸の新道を歩き出したところ、すぐに軽トラのおじさんが止まってくれてスメールまで送っていただいた。今まで何回となくご好意に甘えてきたが今回ほど嬉しく、助かったことは無かった。スメールで泊りができるか尋ねると朝食つき一泊一万500円といわれしばらく考えるがこの状態で2時間バスに乗って松阪まで行くのは辛いのでお泊り決定とした。

道中の癒しになった
アケボノツツジ
早速お風呂に入ると肩口のとことに黒いものが着いている、ひっぱて見ると取れない。良く見るとダニが5mmほどに膨れて食いついていた。部屋に帰ってゆっくりと観察しながらライターで焼き殺して口の部分が残らないように取ったがしこりが出来ていた。ヒルの心配をしていたがこちらは大丈夫だったのですが、なんと朝、布団の近くに一匹這っていた。玄関に置いたザックについていたらしい。そこで急いでザックを風呂場に持ち込んですべてのものをチェックするとスパッツに一匹見つけた。水洗いをしながら点検すると落ち葉がものすごく出てくる、これじゃヒルもくっついているわけだ。風呂の掃除が大変だった。家に帰ってすぐにすべてのものを持ってコインランドリーに行き洗濯機にぶち込んだ。
食欲が回復したのは帰郷後の翌朝でした。体力不足を思い知らされた縦走でした。それとテン場はしっかりと決めておいたほうがいい、行かれるところまで足を伸ばすというのはつい無理をしてしまい今回のような状態を引き起こす原因だ。反省!!